マレーシアのメディアに取り上げられました
小国高校と小国中学校で実施されている海外とのオンライン交流会の取り組みが、国際交流基金(マレーシア)のニュースレター「TAMAN BARU」に掲載されました。阿部コーディネーターとブライアンコーディネーターの想いが英語で綴られています。英語の勉強としても活用いただければ幸いです。
https://www.jfkl.org.my/files/topics/1692_ext_02_0.pdf

和訳:
7月7日、小国町の生徒とKOLEJ TUN DATU TUANKU HJ BUJANG (Sarawak)とSMS MIRI (Sarawak)がオンラインで交流会を行った。昨年度から私とJFKLが協働で企画している「オンライン日本語交流会」である。
オンライン交流会は、まず相手国の情報をインプットし、「そもそもなぜ外国の言葉や文化について学ぶ必要があるのだろう?」という問いをみんなで一緒に考える。それから実際にオンラインで対話し、会話を広げるために様々な質問を交換する。1回目のグループでは日本語で、2回目のグループでは英語で会話した。実際に交流会を行った日本人生徒たちの声を聞いてみよう。
「最初は緊張したが、マレーシア人は全員優しくて楽しむことができた。またやりたい!」「現地の料理に興味を持った」「私のつたない英語でも伝わった!」「アニメの話題で盛り上がった!」「1.2年しか勉強してないのに、日本語が上手!」「マレーシアに移住してみたくなった」他にも沢山の感想が届いた。90%以上の生徒が大満足だ。
インターネットが世の中に普及し、人々はいつでもどこでも世界中とつながることができるようになった。コロナ禍の影響でどの学校でもICTが整備され、国際教育において子供たちはかつてないほどチャンスを得ているように見える。しかし私は、教育現場で働いていて思う。どれだけインターネットが普及し、低価格で便利なサービスが存在しても、子供たちのやる気のスイッチは現場の大人にしか押せないのではないか。その重大な責任を負っている私たち大人は、ちゃんと世界に目を向けられているだろうか?どうすれば生徒たちの目を世界に向けられるだろうか?ICT環境は整ったが、ちゃんと使いこなせているだろうか?毎日自問自答している。
国際教育を担当するにあたり、いま私を支えてくれているのはマレーシアでの日本語パートナーズの経験だ。日本語パートナーズプログラムの任期が終了してからもうすぐ5年が過ぎようとしている。現地に馴染むため、マレー語を学んだり、彼らの習慣に合わせ手でご飯を食べたり、モスクでのお祈りの時間を尊重したりと色々な努力をした。マレーシアの人々はとても親切で、とても有意義な時間を過ごすことができた。マレーシアに対する愛は、誰よりも強いつもりだ。国際教育を担当する時、大切なのはどれだけICTを使いこなしているかではなく、交流先の国をどれだけ愛しているかだと考える。実際に授業ではいろんな国を紹介してきたが、生徒の反応が一番いいのはマレーシアの授業だ。他民族の文化、カラフルな食べ物、信じられないくらい美しい風景、マレーシアの魅力を語るにはいつも時間が足りない。
私は日本語による海外とのオンライン交流会がもっと多くの場で実施されることを願っている。一般的に日本人の生徒は英語や外国人に対して苦手意識を持っていると言われている。教科書で外国の文化・歴史・宗教などを学んでもなかなか興味をもてない人もいる。しかし1回でも実際に外国の現地の人と話した経験があれば変わることができるのだ。母国語で外国人と交流できることを体験できれば、彼らは水を得た魚のように積極的に話しだす。対話の時間さえはじまってしまえば、子供達の世界観はすごいスピードで広がっていく。世界地図を眺めれば、その国の人々の顔が浮かんでくるようになる。その国についてもっと調べてみたいと興味が湧いてくる。その国の人のために何かしたいと行動に移す。新しい時代の国際教育とはそうあるべきだと思う。
日本語での交流会を授業に導入することで、生徒の国際教育へのモチベーションが飛躍的に高まった実感がある。冒頭の問い「なぜ外国の言語や文化を学ぶのか?」の答えは「楽しいから」と多くの生徒が答えてくれる。この感覚は彼らの人生を豊かにしてくれるはずだ。英語を始めとした教科横断的な学びへの効果も期待されている。交流会を終えた生徒たちの顔つきは、まさに未来のアンバサダーだ。この機会を生かして交流を続けていき、日本とマレーシアの絆を強くしていきたい。